精錬され、ピュアになり、もっと美しくなる = REFINE
「リファインメタル」とは、国内に眠っている資源を再活用した貴金属のこと。私たちは「リファインメタル」をサステナブル且つトレーサブルなジュエリー素材として普及させ、これまで不透明だった貴金属流通に透明性をもたらすべく、「REFINE METAL PROJECT」という名の啓蒙活動を続けています。
STORY
背景
環境や人権問題に対する消費者の意識は近年ますます高まり、SNS上の発信や購買行動を通じた意思表示が進んでいます。企業側にも対応が求められており、日本政府が策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」には、企業の規模、業種等にかかわらず、日本で事業活動を行う全ての企業(個人事業主を含む。以下同じ。)は、国際スタンダードに基づく本ガイドラインに則り、国内外における自社・グループ会社、サプライヤー等(サプライチェーン上の企業及びその他のビジネス上の関係先をいい、直接の取引先に限られない。以下同じ。)の人権尊重の取組に最大限努めるべきである。と記されています。
金・銀・プラチナ等の貴金属は、繰り返し利用しても品質が損なわれない素晴らしい特性を持っています。しかしその特性がゆえに、天然の鉱山を採掘したものと再利用されたものがはっきりと区別されずに流通していました。
大量に廃棄された携帯電話やパソコンなどの中に含まれる有用な金属資源を、都市に眠る鉱山に見立てて「都市鉱山」と呼びます。日本の都市鉱山は金6,800トン(全世界の埋蔵量の16%)、銀60,000トン(全世界の埋蔵量の22%)にものぼると言われ、世界でもトップクラスの埋蔵量。資源小国として知られる日本ですが、実は都市鉱山に関して言えば有数の資源国なのです。
世界平均では、金鉱山を採掘して採れる金の量は1トンの鉱石から約3〜5グラム(リング1本分)。これに対して、例えば廃棄された携帯電話1トンからは150〜200グラムもの金が採取可能とされており、コストの面でも極めて効率的な方法です。
REFINE METAL PROJECTは、都市鉱山のほか、不要になったジュエリーやジュエリーを作る過程で発生する端材など、国内に眠っている資源から生まれ変わる再生貴金属を「リファインメタル」として広く流通させ、ジュエリー産業に関わるすべてのステークホルダーと一般顧客のエシカルな意思決定を後押ししていきます。単なるリスク回避や規制対策という観点を超え、環境負荷の軽減とサプライチェーンの透明化を積極的に推進します。
problem
課題
1 限りある資源
金属資源を採掘できる場所には限りがあり、当然生産量にも限界があります。すでに金や銀については、今後採掘可能な鉱山の資源量よりもこれまでに採掘した資源量のほうが多くなっています。未開拓の鉱山が新たに発見される可能性もありますが、鉱山開発によって生態系の破壊や水質汚染など自然環境に様々な影響を及ぼすことが考えられるため、環境保全への十分な配慮が求められます。
2 環境への影響
鉱物資源の品位低下も進んでいます。近年、既存鉱山の採掘が進んだ結果、深層部で採掘するケースが増加しています。一般的に採掘される鉱物資源は、地表部分より深層部分の方が貴金属の含有量が少ない傾向にあります。鉱物資源の品位の低下は、生産コストの上昇だけでなく、精製に必要となるエネルギーや不純物の増加に伴う環境への悪影響が懸念されます。一方で世界全体の金属資源の需要は増え続けており、今後もこの傾向は続くと考えられます。
3 望ましくない労働
鉱業は、ILOが採石業や建設業などと並んで危険有害な仕事と指定している産業のひとつです。ILOの調査によると、ブルキナファソとニジェールでは、金鉱で働く労働者の30~50%が子どもで、その多くが15歳未満で、中には強制労働を強いられる人もいます。手掘り小規模採掘の現場では、子どもたちは地下深くの坑道での作業、重い岩石の運搬、鉱石から鉱物や貴金属を分離するための有毒な化学物質の使用などを強いられています。
4 責任ある調達
貴金属は換金性の高さから、時に悪用されてしまうことがあります。例えば、密輸した金塊を国内で換金する脱税行為、窃盗により得た現金で他人名義を用いて貴金属を購入するマネーロンダリングなどです。2018 年には経済産業省が「犯罪収益移転防止法」で定められている報告義務を怠った地金業者6社に対し行政処分を下すなど、貴金属の悪用は大きな社会問題となっています。
MISSION
使命
「貴金属製品の作り手と消費者双方にとって、持続可能かつ安心で豊かな、開かれた未来を創造する」
遠い国の鉱山からではなく、国内に眠っている資源を用いて行われるジュエリーの地産地消。貴金属ならではの良質な循環を日本中に、そして世界中に広めていくことが、REFINE METAL PROJECTのミッションです。あらゆる貴金属製品にリファインメタルのマークが刻印され、リサイクルマークのように当たり前に流通し、それを自由に選択できる時が来たら、REFINE METAL PROJECTは達成されたと言えるでしょう。
vision
未来像
環境への配慮と人権の尊重を結びつけ、全てのステークホルダーと顧客がリファインメタルを自由に選択できる透明で公正なジュエリー産業を実現します。
ACTION
活動内容
Action.1
リファインメタル認証制度の運用
リファインメタルを用いて適切なプロセスで生産されたジュエリーであることを保証するため、ガイドラインに基づき「リファインメタル認証」制度を運用しています。認証を取得したジュエリーには専用のマークが刻印され、一般のお客様が一目見ただけでリファインメタルであることを認識できます。
Action.2
再生貴金属に関する定義・ガイドライン策定
リファインメタルがその他の金属と明確に区別されるよう、また、顧客がリファインメタルとそうでないものを誤認することのないよう、取り扱い方法や表示・表記に関するガイドラインを策定しています。
Action.3
各事業者との連携/リファインメタルを使ったものづくりの推進
精練、金属加工、鋳造、製品加工、小売店など各事業者を繋ぎ、トレーサビリティが明確なリファインメタルのサプライチェーンを構築しています。また、そのサプライチェーンを活かして持続可能性の高いものづくりを推進し、リファインメタルを扱う職人やメーカーを支援しています。
Action.4
貴金属資源に関する調査・研究
研究機関と連携し貴金属資源に関する調査・研究に取り組んでいます。リファインメタルがCO2排出量の削減にどれだけ寄与できるか、明確なデータを公表できることを目標にしています。
Action.5
市場・消費者のマインドシフトのための啓蒙・発信活動
貴金属には繰り返し使用してもその品質が損なわれないという特性があるにも関わらず、そのことを知っている人は多くありません。一般のお客様が貴金属に関する正しい知識を得て、ジュエリーを購入する際にエシカルな選択ができるよう、積極的に情報発信を行っています。
CERTIFICATION
リファインメタル認証
「リファインメタル認証」制度によって、その製品が間違いなくリファインメタルだけを用いたものであり、適切なプロセスによって生産されたことを証明します。
下記の認証システムにより、リファインメタル認証を取得したジュエリーのひとつひとつに対し、生産背景に問題がないことをチェックしています。
工程確認
貴金属が精錬され金属加工や製品加工を経てジュエリーになるまでの全工程において、リファインメタルが正しく取り扱われており、環境・人権に対する適切な配慮がなされていることを確認します。刻印
全ての生産工程が確認できたジュエリーにはリファインメタルのマークが刻印されます。製品登録
全ての生産工程が確認され、リファインメタルのマークが刻印されたジュエリーは、リファインメタル協会のデータベースに登録されます。join
参加する
企業の皆様へ
私たちはリファインメタルという一つの仕組みによって、誰もが同じ基準で再生貴金属を使用できる土壌づくりに励んでいます。そしてリファインメタルを通じて業界がひとつになり、ジュエリー産業を盛り上げていく未来を心から望んでいます。
「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」をはじめとして、企業が果たすべき社会的責任に向き合うことは、ステークホルダーや顧客との信頼関係を築き上げるために必要不可欠です。
リファインメタルを使ったものづくりにご協力いただける企業様、REFINE METAL PROJECTを支援してくださる企業様、皆様からの賛同が日本の産業を守り発展させることにも繋がります。
一般のお客様へ
実は、貴金属は以前からずっと、繰り返し使用され循環してきました。
天然の鉱山から採掘される貴金属も、都市鉱山を再活用する貴金属も、品質や強度に全く変わりはありません。しかも、ここ日本には十分な量の都市鉱山が眠っていると言われます。リファインメタルは、国内の信頼できる都市鉱山から調達される安心・安全な貴金属です。ジュエリーを購入する際には、リファインメタルのマークがあるかどうかを基準に選んでみませんか?
そして、私たちと一緒に「持続可能かつ安心で豊かな、開かれた未来」を創るため、REFINE METAL PROJECTに参加しませんか?皆様からの賛同が協会の大きな推進力となります。